下血、血便がみられたら、どうしますか?
大腸癌? 痔出血?
これらも出血や血便の原因となりますが、虚血性腸炎は比較的よくみられる疾患です。
今回は、あまり知られていない虚血性腸炎について勉強してみましょう。
はじめに
消化管出血は視認できるものとして吐血、鮮血便、黒色便があります。
Treitz靭帯を境として上部/下部消化管出血を分類します。
下部消化管出血は重症例でも72%は自然止血されるとの報告があります。
下部消化管出血の頻度
憩室出血 30-65% 急性発症の腹痛を伴わない下血
虚血性腸疾患 5-20%
痔核 5-20%
大腸ポリープ or 大腸癌 2-15% 緩徐な経過、排便習慣の変化
これを知っているだけでも、いざという時に慌てなくてもすみます。
大腸癌による出血は思っているほどは多くないですね。
虚血性腸炎
血管の狭窄や閉塞により、大腸の虚血によっておこる症状です。
65歳以上では、16.3人 / 10万人みられる
80歳以上では、107人 / 10万人みられる
女性に多い
リスク因子 高血圧、虚血性心疾患、癌、糖尿病など
症状は、急性発症で、腹痛後の下血です。
「急にお腹が締め付けられるように痛い」と患者さんが訴えており、その後に下血があれば、ピーンときましょう。
左上部の腹痛(下行結腸、横行結腸)の頻度が多い
65%の症例は、自然軽快する
右側の腹痛の場合は、上腸間膜動脈閉塞の可能性があり、重症化しやすい
下血がみられたら?
上部消化管出血(吐血の有無)か、下部消化管出血か?
バイタル確認(ショック状態、意識レベルの低下などに注意)
下血の量、性状を確認する
腹部症状(腹痛の場所、腸蠕動の確認、筋性防御の有無)
軽症例
自宅でも、絶食 and / or 輸液で経過をみることもできる
中等症以上
血圧低下、意識レベルの低下、頻脈のいずれかがみられれば、医師に相談する
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