呼吸苦への対応について、緩和ケアの視点からまとめてみます。
1. SpO2(酸素飽和度)が低下する場合
呼吸困難の多くの場合は、SpO2が低下します。例えば、喘息発作、肺炎、肺癌などの疾患です。治療の方針は、原疾患への対応がまず優先されます。喘息発作なら喘息の治療、肺炎なら抗菌薬投与となります。
では、治療が難しい、または治療法がない肺癌や肺転移の時にはどうしたら良いのでしょうか。3つ覚えましょう。
1つ目、酸素投与です。ほとんどの場合は、酸素投与で呼吸苦の軽減が認められます。酸素投与で呼吸苦が改善しない場合には、次の方法を考えます。
2つめは、ステロイドです。ステロイドが有効な場合とは、聴診で喘息様の肺雑音が聴取される場合に効果があります。ステロイド使用時の注意点は、肺炎を合併している場合には、肺炎を悪化させることがあるので、肺炎を併発しているかどうかも見極める必要があります。また、長期使用の場合には、副作用にも注意が必要です。
3つめは、塩酸モルヒネです。塩酸モルヒネは、鎮痛薬として働くだけではなく、鎮咳作用、呼吸困難の緩和にも効果がある薬です。呼吸中枢の感受性を抑制したり、呼吸ドライブを軽減したりするため、呼吸困難を軽減する作用があります。
2. SpO2(酸素飽和度)が低下しない場合
大前提として、SpO2が低下していなくても、患者さんが苦しいと言えば、苦しいのです。「SpO2が下がってないから、大丈夫ですよ」という対応は、良い対応ではありません。
SpO2が低下しない呼吸苦の状態としては、過換気、パニック障害などの心因的な疾患が考えられます。また、軽度の気胸の場合にもSpO2が低下しない場合があるので、しっかりと診察をする必要があります。気胸などの疾患が否定できる場合には、抗不安薬が効果があります。
最後に、「呼吸が苦しい」と訴える患者さんを治療の視点だけではなく、ケアという視点で考えてみてください。
・どういう時に苦しくなるか?
歩行時、排便時などに苦しくなるのであれば、生活スタイルを見直す。
・呼吸苦によって、生活がどのように制限されているか?
外出できない、夜眠れない
・安楽ポジションはどうか?
これだけできれば、もう呼吸苦は怖くないはず。立派な緩和ケア看護師です。
評判が良ければ、続く・・・・かも。
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