当初は『新型肺炎』と呼ばれていたように、重篤な肺炎症状の患者さん ばかりが注目されていましたが、様々な報告から多くの感染者は軽症で あって、肺炎を合併するのは一部であることがわかってきました。幸い にも2003年に流行したSARSよりも死亡率は低いことも明らかになって きましたが、この『多くは普通の風邪』という特徴は、診断を難しくし、 中国で感染を拡大させる要因にもなりました。
コロナウイルス 診断キットはまだ無い
インフルエンザにはその場で診断できる簡易検査キットがあります。しかし、コロナウイルスの診断キットはまだ無く、PCR法という時間と手間がかかる検査で診断する必要があります。通常の医療機関ではこの検査をすることができません。PCR法による検査は保健所など特定の場所でのみ行うことができ、対象となるのは感染者との接触が疑われる人や重度の肺炎の患者さんなどに限られています。
そのため、インフルエンザなど『普通のかぜ』なのか『新型コロナウイルス感染症』なのかを区別することは現実として難しく、中国への渡航や感染者との接触の可能性が最も重要な情報となります。
『普通のかぜ』で受診した人が、医療機関で感染する悪循環を断つことが大事
日本国内で新型コロナウイルス感染症の流行が起こった場合には安易に医療機関を受診することは避けた方がよい場合があります。
例えば、『普通のかぜ』にも関わらず、あわてて救急外来を受診すれば、かえって新型コロナウイルスに罹ってしまうリスクが高まります。反対に、⻑いこと熱がつづき肺炎も疑われる重篤症状の方が⻑時間待合室に待っているかもしれません。軽い症状であればただの風邪やインフルエンザである可能性も十分高く、慌てず日中にクリニックに電話相談するほうが良いかもしれません。
症状が重たかったり、ウイルスの感染者 と接触した可能性があるひとは、保健所のコロナウイルス窓口や救急病院に電話相談をされてから受診をすることも大事です。
COVID-19について、分かっていることのまとめ (2020/3/29追記)
・感染力は強いが、重症化率は高くない
・潜伏期間 数日から14日
・その後、7日程度の風邪症状
発熱(28.8%) 咳(27.9%) 倦怠感(10.6%)が主な症状
・味覚障害のみのこともある
・咽頭痛は少ない(10.6%) 自衛隊中央病院のHPより
・小児、健康な人は、普通の風邪の症状として経過する
80%の感染者は軽症または中等症で経過する
18歳未満は発症しにくく、軽症で経過することが多い
・60歳以上、COPD、糖尿病の患者さんは、重症化することがある
・肺炎が重症化する場合は、発症から10-12日目が多い
防ぐべきは、疑心暗鬼になること。パンデミック期のパニックになる原因は、疑心暗鬼ですので、冷静に対処しましょう。
今できること
・マスクは効果がない (感染者が他人にうつさない効果はある)
・外出したら、手洗いをする
・水分摂取をこまめにする
・不要な外出を控える
・鼻呼吸を心がける(あいうべ体操で、インフルエンザによる欠席を60%減少させた)
まとめ (2020/3/29追記)
日本でも感染が広がっていることを考えて、予防をしっかりとしましょう。
・ほとんどの人は、普通の風邪症状で経過する
・普通の風邪と違って、症状が軽く味覚障害のみのことがある。
・風邪症状で、咽頭痛がない場合はCOVID-19感染の可能性が少し上がる
・60歳以上または持病のある方は、重症化することがあるので注意する
・発熱、咳の症状が出てから、14日以上経過すれば重症化することは少ない
・不要な外出は控える
・手洗い
・水分摂取
(参考文献)
・自衛隊中央病院ホームページ
・Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China, Lancet, Mar 9, 2020
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